2019年7月8日に外務省から「旅券手数料収入と発給コストの比較について」が公表されました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000267088.pdf
このタイミングで、この内容の公表に対する外務省の狙いはわかりませんが、個人的には、「パスポート(旅券)発給手数料の価格の妥当性」を検証したものと考えています。
この文書では、旅券発給に係る経費及び邦人保護関連経費に係る予算は、3年連続歳出超過(いわゆる赤字)となっています。
この結果をうけて、旅券デザインが刷新されるタイミングでの値上げ?があるかもしれないと危惧しています。
ここでは、今回公表された内容を簡単にレビューしていきたいと思います。
旅券発給手数料の価格根拠
個人的に知りたかったパスポート発給手数料の価格根拠が記載されています。
以後出てくる以下の用語には、このようなものが含まれています。
直接行政経費…旅券冊子購入費、人件費を含めた作成費など
間接行政経費…邦人保護活動諸経費など
10年有効旅券(パスポート)
・国の直接行政経費 4,000円
・国の間接行政経費 10,000円(1,000円/年×10年)
・都道府県の経費 2,000円
合計 16,000円
5年有効旅券(パスポート)
・国の直接行政経費 4,000円
・国の間接行政経費 5,000円(1,000円/年×5年)
・都道府県の経費 2,000円
合計 11,000円
よく10年有効パスポートは、「1年を1,000円で5年パスポートを発給していることと同じ」と言われます。
この内訳を見ると、自明ですね。
旅券発給は増加傾向
歳入(収入)に直結する旅券発行件数は、増加傾向にあります。
平成26年度:3,306,721件
平成27年度:3,473,573件
平成28年度:3,995,033件
それに伴って、旅券手数料収入も増加です。
特に、平成28年度は大きく伸びています。
平成26年度:36.924,481千円
平成27年度:38,827,939千円
平成28年度:45,256,706千円
その他の詳しい情報は、旅券統計をご覧ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_007091.html
邦人保護活動諸経費も年々増加傾向
次に歳出(支出)です。
トータルの歳出は以下です。
平成26年度:42,259,352千円
平成27年度:47,054,759千円
平成28年度:49,835,517千円
旅券発給の増加により、直接行政経費が増えています。
しかしこの文書では、邦人保護関連経費に該当する間接行政経費が増加していることに触れられています。
有効旅券が増えているということは、海外渡航者が増加する下地になります。
こういった状況で、海外で窃盗被害などの事故に巻き込まれるケースが増えているようです。
平成28年の実績では、邦人援護件数は18,566件でした。
簡単には単純化できないですが、1日あたり約50件の事案が発生していることになります。
これって多くないですか?
収入面の旅券の発給はいずれ頭打ちになりそうですが、支出の邦人援護件数の増加如何によっては、発給手数料の値上げになりそうな予感です。
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